イギリスの移民政策は、2024年の総選挙で誕生したキア・スターマー政権(労働党)のもと、大きな転換期を迎えています。
保守党政権時代の「ブレグジット後の自由移動廃止」という方針を継承しつつ、さらに**「移民への依存を減らし、国内の技能育成を優先する」**という姿勢を鮮明にしています。2025年から2026年にかけて実施される具体的な制度変更と、その評価・課題について解説します。
1. 現状:スターマー政権の「管理された移民」政策
2025年5月に発表された白書「移民制度の管理の回復(Restoring Control over the Immigration System)」に基づき、政府は「高技能・少数」モデルへの移行を加速させています。
主な施策(2025年〜2026年)
| 項目 | 内容 | 実施時期 |
| 純移民数の削減 | 年間100万人規模(2023年ピーク時)からの大幅削減を公約。 | 継続的 |
| 就労ビザの厳格化 | 熟練労働者(Skilled Worker)の学歴要件を学位レベル(RQF 6以上)へ引き上げ。 | 2025年〜 |
| 英語能力要件の強化 | 就労ビザ等の英語レベルを「B1」から「B2(中上級)」へ引き上げ。 | 2026年1月 |
| 永住権(ILR)の延長 | 永住権申請に必要な在留期間を、従来の5年から10年へ延長(Earned Settlement)。 | 2026年4月予定 |
| 電子渡航認証(ETA) | 日本を含むビザ免除国からの渡航者に対し、事前のデジタル許可を義務化。 | 2026年2月全面施行 |
2. 評価:何が変わろうとしているのか
肯定的評価:国内労働力の底上げと「公正さ」
技能と雇用の連携: 単に外国人を呼ぶのではなく、人手不足の分野では企業に国内の人材育成計画(Workforce Strategy)を求めるようになりました。これにより、安価な労働力への安易な依存を是正しようとしています。
質の重視: 英語能力や学歴の基準を上げることで、英国社会に高度に貢献できる人材を優先的に受け入れる「選択的移民」を徹底しています。
批判的評価:労働不足と「10年ルール」への不安
深刻な人手不足: 介護(ソーシャルケア)分野での外国人受け入れ停止や制限により、現場の崩壊を懸念する声が強いです。
定住のハードル: 永住権取得までの期間が倍(5年→10年)になる提案は、優秀な人材が英国を避け、他国(カナダやドイツ等)へ流出するリスクを招くと批判されています。
3. 今後の課題
「小舟」による不法入国対策:
ドーバー海峡を渡る小舟(Small Boats)による不法入国問題は依然として深刻です。保守党のルワンダ移送計画を廃止したスターマー政権は、密航業者への取り締まり強化(Border Security Commandの設立)を掲げていますが、根本的な解決には至っていません。
経済成長とのジレンマ:
労働党は経済成長を最優先課題としていますが、移民を絞ることは人件費の上昇やサービス低下を招く「諸刃の剣」です。国内の技能訓練が移民削減のスピードに追いつくかどうかが鍵となります。
行政コストとバックログ:
ETAの導入や新制度の運用に伴う事務手続きの遅延(バックログ)が、ビジネスや観光の妨げになる可能性が指摘されています。
まとめ
現在のイギリスは、**「移民は権利ではなく、貢献に基づいて勝ち取る(Earned)特権である」**という非常に厳しいスタンスへ舵を切っています。2026年は特に「永住権の10年化」や「ETAの完全実施」など、日本人を含む全ての外国人にとって大きな変化の年となります。
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次は、具体的なビザ取得条件の変更点や、日本人に与える影響についてより詳しくお調べしましょうか?
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