Society 5.0は、2016年に閣議決定された「第5期科学技術基本計画」で初めて提唱された、日本の目指すべき未来社会の姿です。具体的なスケジュールやターゲットについて、以下のように示されています。
Society 5.0のスケジュールと目標年度
Society 5.0の実現には、具体的な「いつまでに何を」という明確なロードマップが示されているわけではありませんが、いくつかの目標年度が設定されています。
- 2030年: Society 5.0の主要な要素や技術が、より具体的に社会に浸透し始める目安とされています。特に、社会課題解決と経済発展の両立に向けた具体的な取り組みが加速する時期として意識されています。
- 2050年ごろ: Society 5.0が完全に実現し、社会全体の「あるべき姿」として定着する長期的な目標として掲げられています。この頃には、あらゆる人が質の高いサービスを受けられ、年齢、性別、地域、言語といったさまざまな違いを乗り越え、活き活きと快適に暮らせる社会が実現していることを目指します。
これらの目標年度に向けて、政府は5年ごとに策定される「科学技術基本計画」や、個別の分野(例:スマートシティ、医療・介護、モビリティなど)におけるロードマップを通じて、具体的な研究開発投資や施策を推進しています。
例えば、第5期科学技術基本計画(2016年~2020年度)ではSociety 5.0の概念が提唱され、その後も続く科学技術基本計画や成長戦略において、具体的な技術開発や社会実装に向けた取り組みが進められています。
Society 5.0のターゲット
Society 5.0は、特定の層だけをターゲットとするものではなく、「人間中心の社会」を掲げていることからもわかるように、「あらゆる人」がターゲットとなります。
特に、Society 4.0(情報社会)で生じた様々な課題を解決し、より良い社会を築くことを目指しているため、以下のような課題を抱える人々や、その恩恵を享受しにくいとされてきた層にも焦点を当てています。
- 高齢者: 介護、医療、移動の課題を抱える高齢者が、ICTの活用によってより自立し、質の高い生活を送れるようになることを目指します。介護ロボット、遠隔医療、自動運転などがその例です。
- 障がい者: 身体的な制約や情報へのアクセスの困難を抱える障がい者が、最新技術によって活動の機会を広げ、社会参加を促進できることを目目指します。例えば、AIによる情報提供の最適化や、アシストロボットの活用などです。
- 過疎地域の住民: 医療、交通、教育、買い物など、都市部に比べてサービスの質や量が不足しがちな過疎地域においても、ICTを活用して質の高いサービスを届けることを目指します。遠隔医療、自動運転、ドローンによる配送、オンライン教育などが挙げられます。
- 子育て世代: 共働き世帯の増加や子育てと仕事の両立といった課題に対し、家事支援ロボットや見守りシステム、オンライン学習などでサポートを強化します。
- 企業、産業全体: 労働力不足、生産性の向上、新たなビジネスモデルの創出といった課題に対し、AI、IoT、ロボット技術を活用したスマートファクトリー化、データ連携による新たなサービス開発などを推進します。
- 社会全体: 環境問題、エネルギー問題、災害対策といった地球規模の課題や、都市の課題(渋滞、ゴミ問題など)を、データと技術の力で解決し、持続可能な社会を築くことを目指します。
このように、Society 5.0は、これまで技術の恩恵を受けにくかった人々や、社会が抱える構造的な課題を解決することで、誰もが快適で質の高い生活を送れる社会の実現を目指しています。
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