アメリカの教育制度における中学校(Middle School/Junior High School)と高校(High School)について解説します。
中学校 (Middle School / Junior High School)
アメリカの中学校は、一般的に小学校(Elementary School)の次、高校(High School)の前に位置する教育段階です。学年は地域によって異なりますが、一般的には6年生から8年生(11歳~14歳頃)または7年生から8年生(12歳~14歳頃)の2~3年間です。
主な特徴:
- 義務教育の一部: アメリカでは、州によって異なりますが、一般的に16歳前後までが義務教育とされています。中学校はその義務教育期間に含まれます。
- 学年の区分:
- 一般的には、Middle School は6年生~8年生を指すことが多いです。
- 地域によっては、Junior High School が7年生~9年生の場合もありますが、近年はMiddle Schoolに移行する傾向があります。
- 教科の多様化: 小学校に比べて専門的な科目が導入され始めます。主要科目(英語、数学、理科、社会)に加え、選択科目も増えることがあります。
- 単位制の導入: 高校ほどではありませんが、一部の中学校では単位制に近いシステムを取り入れている場合があります。
- 進路指導の開始: 高校進学に向けた基礎的なガイダンスが始まることがあります。
- クラブ活動やスポーツ: 学校によって異なりますが、様々なクラブ活動(学術系、芸術系など)やスポーツチームに参加する機会があります。
- 学習方法: 授業での教科書学習、グループワーク、プロジェクトベースの学習など、多様な学習方法が用いられます。宿題は毎日課されるのが一般的で、数学の問題集、英語の読解、レポートなどが含まれます。
- 先生の役割: 日本の中学校と比較して、先生は教科指導に特化している傾向があり、生徒指導や進路相談は専門のカウンセラーが担当することがあります。
高校 (High School)
アメリカの高校は、中学校の次の段階で、一般的に9年生から12年生(14歳~18歳頃)の4年間です。
主な特徴:
- 義務教育の最終段階: 多くの州で、高校卒業までが義務教育期間に含まれます。
- 学年の区分:
- 9年生: Freshman
- 10年生: Sophomore
- 11年生: Junior
- 12年生: Senior
- 単位制: アメリカの高校の大きな特徴の一つが単位制です。卒業に必要な単位数を満たすために、必修科目と選択科目を組み合わせて履修します。生徒は自分の興味や進路に合わせて科目を選択できます。
- 多様な科目: 主要科目に加え、非常に多くの選択科目が用意されています。大学レベルのAdvanced Placement (AP) コースや、職業訓練に繋がるコースなどもあります。
- 進路指導の充実: 大学進学を重視する学校が多く、進路カウンセラーによる個別指導や、大学説明会などが頻繁に行われます。
- 課外活動の活発さ: スポーツ、音楽、演劇、ディベート、ボランティアなど、非常に多くの課外活動が盛んです。これらの活動は、学業成績だけでなく、大学進学の評価対象となることもあります。
- 飛び級・留年: 成績優秀な生徒は飛び級(特定の科目または学年全体)できる制度があります。一方で、成績不振の生徒は留年することもあります。
- 学校の種類:
- 公立高校 (Public High School): 税金で運営されており、原則として学区内の生徒は無料で通えます。
- 私立高校 (Private High School): 授業料が必要ですが、より少人数制であったり、特定の分野(進学、芸術、宗教など)に特化した教育を提供している場合があります。寮制の学校(ボーディングスクール)もあります。
- 授業の形式: 生徒が積極的に発言したり、プレゼンテーションを行う機会が多いです。
- 卒業資格: 卒業に必要な単位を取得すると、高校卒業証書(High School Diploma)が授与されます。
日米の教育制度の主な違い(中学校・高校に関連する点):
- 義務教育期間: アメリカの方が義務教育期間が長い場合が多いです。
- 学年制度: 日本は学年制で、学年ごとに履修する科目がほぼ決まっていますが、アメリカは単位制で、生徒が主体的に科目を選択します。
- 入試: 日本の公立高校は一般的に入学試験がありますが、アメリカの公立高校は原則として学区内の生徒は無試験で入学できます。私立高校は選考がある場合があります。
- 部活動: 日本の部活動は学校に所属し、長期にわたって活動することが多いですが、アメリカの課外活動は多様で、季節ごとに変わるスポーツなどもあります。
- 清掃・給食: アメリカの学校では生徒が清掃を行うことは少なく、給食がない学校も多いです(ランチを持参するかカフェテリアで食事をします)。
アメリカの中学校・高校は、生徒の自主性や個性を尊重し、多様な選択肢を提供することで、それぞれの興味や進路に合わせた学習を促すことを重視する傾向があります。
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