2026年4月3日金曜日

国立国会図書館(NDL)の正本館ロビーに刻まれた「真理がわれらを自由にする」という言葉とは

 国立国会図書館(NDL)の正本館ロビーに刻まれた**「真理がわれらを自由にする」**という言葉は、同館の設立理念を象徴する非常に重要なフレーズです。

この言葉がなぜ選ばれ、どのような願いが込められているのか、その背景を詳しく解説します。


1. 言葉の由来

この一節は、新約聖書「ヨハネによる福音書」第8章32節の**「真理はあなたたちを自由にする(Veritas liberabit vos)」**に由来しています。

古くから学問の自由や大学のモットーとして世界中で用いられてきた言葉ですが、国立国会図書館においては、単なる宗教的・学術的な引用を超えた、戦後日本としての強い決意が込められています。

2. 掲げられた経緯

1948年(昭和23年)、国立国会図書館法が制定された際、その前文にこの理念が書き込まれました。

  • 提唱者: 初代館長の金森徳次郎と、設立に尽力した参議院議員の羽仁五郎らによって導入されました。

  • 時代背景: 日本が敗戦を迎え、二度と過ちを繰り返さないために「国民の知る権利」を保障し、民主主義を根付かせることが急務とされていた時期です。

3. この言葉の本意(メッセージ)

このスローガンには、大きく分けて3つの重層的な意味が込められています。

① 反省と決意

戦前の日本において、情報は統制され、国民は真実を知らされないまま戦争へと突き進みました。この苦い経験から、**「国民が正しい情報(真理)を手にしていれば、誤った判断(隷属や盲従)から解放され、自由な意思決定ができる」**という強い反省が根底にあります。

② 民主主義の基盤

民主主義とは、主権者である国民が自ら判断する政治です。判断の材料となる資料を広く公開し、誰もがアクセスできるようにすることで、独裁や偏見から自由な社会を作ろうという、図書館の「武器」としての役割を示しています。

③ 国会に対する監視と支援

国立国会図書館は、国会議員の調査研究を助ける場所でもあります。議員が党利党略や誤ったデータに縛られず、客観的な「真理」に基づいて立法を行うことが、結果として国民の自由を守ることにつながるという考え方です。


4. 刻まれている場所

この言葉は、本館の2階大ホールの壁面に、**羽仁五郎の揮毫(きごう)**によるブロンズ製の文字で掲げられています。また、本館の入り口近くにある碑にも、ギリシャ語の原典とともに刻まれています。

「国立国会図書館は、真理がわれらを自由にするという確信に立つて、憲法の誓約する日本の民主化と世界平和とに寄与することを使命として、ここに設立される。」

—— 国立国会図書館法 前文より


現在でもこの理念は、特定の政治勢力に偏らず、あらゆる資料を収集・保存して国民に提供するという、図書館の「中立公正」な姿勢を支える背台骨となっています。

この言葉の歴史的背景や、実際の館内の様子について、さらに詳しく知りたい部分はありますか?

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