中国の自動車会社BYD（比亜迪）について

 はい、中国の自動車会社BYD（比亜迪）について解説します。

BYDの概要

• 正式名称: 比亜迪股份有限公司 (BYD Company Limited)
• 設立: 1995年（自動車事業への参入は2003年）
• 本社: 中国・広東省深圳市
• 創業者: 王伝福
• 事業領域: IT部品（二次電池、携帯電話部品・組立）、自動車（電気自動車、プラグインハイブリッド車、ガソリン車）、新エネルギー（太陽光発電など）
• 企業理念: 技術為王、創新為本（技術を王とし、革新を本とする）
• 「BYD」の由来: 「Build Your Dreams（夢を築こう）」の略

電気自動車（EV）における優位性

BYDは、近年特に電気自動車（EV）分野で目覚ましい成長を遂げ、世界的に注目を集めています。その優位性の背景には、以下の点が挙げられます。

1. バッテリー技術の内製化: BYDは元々バッテリーメーカーとして創業しており、車載用リチウムイオン電池において世界有数のシェアを誇ります。主要部品であるバッテリーを自社開発・生産することで、コスト競争力、供給安定性、技術的な優位性を確立しています。特に、安全性に優れるとされる「ブレードバッテリー」は、BYDのEVの大きな特徴の一つです。

2. 幅広いEVラインナップ: 小型車からSUV、セダン、ミニバン、商用車まで、幅広い価格帯と車種のEVをラインナップしており、多様な顧客ニーズに対応できます。

3. プラグインハイブリッド車（PHV）の強み: EVだけでなく、プラグインハイブリッド車（PHV）においても世界的に高い販売台数を誇ります。このPHVの技術も、EV開発で培ったバッテリー技術などが活かされています。

4. 中国市場での圧倒的なシェア: 世界最大の自動車市場である中国において、BYDは新エネルギー車（NEV：EV、PHV、燃料電池車）市場でトップシェアを維持しています。この国内市場での強固な基盤が、グローバル展開を支える力となっています。2025年3月には、中国NEV市場で29.3%のシェアを獲得し、首位を維持しています。

5. 積極的なグローバル展開: 中国国内だけでなく、積極的に海外市場への展開を進めています。日本市場へも2023年に乗用EVの販売を開始しました。

6. 垂直統合型のサプライチェーン: バッテリー、モーター、制御システムなど、EVの主要部品を自社で開発・生産する垂直統合型のサプライチェーンを構築しており、効率的な生産体制とコスト管理を実現しています。

7. 技術革新への注力: 研究開発に積極的に投資しており、新しい電池技術や電動化技術の開発を推進しています。「e-Platform 3.0」のようなEV専用プラットフォームの開発も、競争力強化に貢献しています。

市場シェア

• 中国NEV市場: 2025年3月時点で29.3%のシェアを獲得し、首位。2025年1-3月期では28.8%のシェアです。
• グローバルEVバッテリー市場: 2024年通期で17.2%のシェアを獲得し、CATLに次ぐ世界2位。
• グローバルEV市場: 2024年には約18%のシェアを獲得し、販売台数ではテスラを抜き、世界首位となりました（四半期ベース）。

日本市場への参入

BYDは、2023年1月に日本国内で乗用車の販売を開始し、以下の車種を導入しています。

• BYD ATTO 3（コンパクトSUV）
• BYD DOLPHIN（コンパクトハッチバック）
• BYD SEAL（ミドルセダン）
• BYD SEALION 7（クロスオーバーSUV、2025年4月販売開始）

また、2026年後半には日本専用設計の乗用軽EVの導入も決定しており、日本市場での本格的な展開が期待されています。

今後の展望

BYDは、高い技術力と生産能力を背景に、今後もグローバルなEV市場でのプレゼンスを拡大していくと予想されます。バッテリー技術の進化、ラインナップの拡充、グローバル展開の加速など、その動向から目が離せません。

ご参考になりましたでしょうか？他に知りたい情報があれば、お気軽にお尋ねください。