日本のユニコーン企業についてですね。まず、ユニコーン企業とは、設立10年以内で、企業評価額が10億ドル(約1,500億円)以上の未上場スタートアップ企業を指すのが一般的です。
日本のユニコーン企業数:一体全体どのくらい?
最新のデータ(2024年〜2025年時点の各種報道や調査機関の報告)によると、日本のユニコーン企業の数は概ね10社前後とされています。ただし、調査機関や定義の微妙な違いにより、数は変動することがあります。
- CB Insightsなどの海外調査機関のデータでは、日本は世界的に見てユニコーン企業の数が非常に少ない国の一つとされています。アメリカや中国が数百社単位であるのに対し、日本は二桁に乗ったばかり、あるいは一桁台後半にとどまっている状況です。
- **日本経済新聞の「NEXTユニコーン調査」**など、国内の取り組みで「NEXTユニコーン(将来ユニコーンになる可能性のある企業)」として多くの企業が選定されていますが、純粋なユニコーン企業の数は限定的です。
これは、日本のスタートアップエコシステムが、資金調達の規模やスピード、グローバル市場への意識、起業家精神の醸成といった面で、まだ世界トップクラスに追いついていないことを示唆しています。
日本の主なユニコーン企業(または元ユニコーン企業)の具体例
日本のユニコーン企業は、AI、SaaS(Software as a Service)、新素材、モビリティ、フィンテックなどの分野に比較的多く見られます。以下に代表的な企業をいくつかご紹介します。(企業評価額は変動するため、参考値としてご覧ください。)
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株式会社Preferred Networks(プリファード・ネットワークス)
- 分野: AI(人工知能)、機械学習、深層学習
- 概要: 日本を代表するAIベンチャー。製造業(トヨタ、ファナックなどとの連携)、交通システム、バイオ・ヘルスケアなど多岐にわたる分野でAI技術の実用化に取り組んでいます。日本のユニコーンの草分け的な存在です。
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スマートニュース株式会社
- 分野: ニュースアプリ、AI
- 概要: ニュースアプリ「SmartNews」を運営。独自のアルゴリズムでユーザーの関心に合わせたニュースを配信し、日米を中心に展開しています。フェイクニュース対策などにも取り組んでいます。
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株式会社SmartHR(スマートHR)
- 分野: クラウド人事労務ソフト、SaaS
- 概要: 人事・労務管理をクラウド上で行えるSaaSを提供。入社手続き、社会保険、年末調整などをペーパーレス化し、企業のバックオフィス業務の効率化に大きく貢献しています。
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Spiber株式会社(スパイバー)
- 分野: 新素材、バイオテクノロジー
- 概要: 遺伝子組み換え微生物による「構造タンパク質素材(人工タンパク質)」の開発・製造を手がけるバイオベンチャー。石油に依存しない持続可能な素材として、アパレル、自動車部品など多様な分野での応用が期待されています。山形県鶴岡市に拠点を置き、地方発のユニコーンとしても注目されています。
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GO株式会社(旧:Mobility Technologies)
- 分野: モビリティ、タクシー配車アプリ
- 概要: タクシー配車アプリ「GO」を運営。モビリティ産業のDXを推進し、配車システムだけでなく、次世代タクシーの可能性も追求しています。
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Playco Japan株式会社
- 分野: モバイルゲーム、インスタントプレイゲーム
- 概要: ダウンロード不要で気軽に遊べる「インスタントプレイゲーム」を開発。LINEなどSNS上での展開も特徴です。
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Sakana AI株式会社
- 分野: AI
- 概要: GoogleのAI研究者らが日本で立ち上げた、比較的新しいAI企業。生成AIや基盤モデルの研究開発に注力しており、今後の成長が期待されています。
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OPN Holdings株式会社(旧:SYNQA)
- 分野: フィンテック、オンライン決済
- 概要: 東南アジアを中心にオンライン決済ソリューションを提供。デジタル決済インフラの構築を支援しています。
かつてユニコーンだったが上場した企業(参考)
- 株式会社メルカリ: フリマアプリ「メルカリ」を運営。日本を代表するテック企業として、かつてはユニコーンの筆頭格でしたが、2018年に上場しました。
なぜ日本のユニコーン企業は少ないのか?
韓国と比較して日本のユニコーン企業が少ない背景には、いくつかの要因が指摘されています。
- 資金供給の課題: ベンチャーキャピタルからのリスクマネー供給が、欧米や中国に比べて少ない傾向があります。また、大企業によるCVC(コーポレートベンチャーキャピタル)投資は増えていますが、EXIT(イグジット:株式公開やM&A)の機会が限定的であることも影響します。
- 起業家精神・リスクテイク文化: 安定志向が強く、大企業への就職を志向する傾向があるため、起業を選択する若者が少ないという指摘があります。また、失敗に対する社会の許容度が低いとも言われます。
- 市場規模とグローバル志向: 日本は国内市場が大きいため、最初からグローバル展開を志向するスタートアップが比較的少ない傾向にあります。海外での成長機会を最初から見据えることが、ユニコーン化には不可欠です。
- 人材の流動性: スタートアップに必要な高度なIT人材やグローバル人材が大企業に留まる傾向があり、人材の流動性が低いことも課題です。
- 規制・制度: 新しいビジネスモデルに対する規制や、迅速な意思決定を阻害する既存の制度が足かせになることがあります。
政府は「スタートアップ育成5カ年計画」を打ち出すなど、ユニコーン企業創出に向けた支援を強化しています。今後は、資金供給の多様化、起業家教育の充実、規制緩和、グローバル市場への進出支援などがさらに進むことで、日本のユニコーン企業の数も増加していくことが期待されます。
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