大伴家持は、『万葉集』の編纂にも深く関わったとされる奈良時代の歌人で、同書には最多の479首もの歌が収録されています。彼の歌は、自然や心情を豊かに表現したものが多く、万葉集の中でも特に重要な位置を占めています。
以下に、大伴家持の代表的な和歌をいくつかご紹介します。
代表的な和歌
- 「うらうらに照れる春日にひばり上がり情(こころ)悲しもひとりし思へば」
- 春の穏やかな日差しの中、ひばりが空高く舞い上がる様子を見て、一人寂しく物思いにふける心情を詠んだ歌です。
- 「春の苑紅にほふ桃の花下照る道に出で立つ少女(をとめ)」
- 春の庭園で、美しく咲き誇る桃の花の下、輝く道にたたずむ少女の姿を詠んだ歌です。
- 「鵲の渡せる橋に置く霜の白きを見れば夜ぞ更けにける」
- 天の川に架かる鵲の橋に降りた霜の白さを見て、夜の深まりを感じる歌です。この歌は百人一首にも選ばれています。
- 「新しき年の始めに思ふどち装ひ束(つど)ひて楽しく飲まむ」
- 新年の始まりに仲間が集まって楽しくお酒を飲み交わそうと歌った歌です。
- 「憶良らは今はまからむ子泣くらむそれその母も我を待つらむそ」
- 山上憶良の有名な歌ですが、この歌に返歌をしたのが家持です。「ますらをと思へる我や水鳥の朝夕に妻恋ひむとぞ思ふ」と返歌をしています。
- 「物言はぬ草木(くさき)の花を愛(め)でたく見るときしあれば人は愛しき」
- 言葉を話さない草木の花を美しいと感じる時があるのだから、人はなおさら愛おしいものだと詠んだ歌です。
- 「瓜食めば子ども思ほゆ栗食めばまして偲はゆいづこより来たりしものそまなかひに慰めもとなき」
- 瓜を食べると子どものことを思い出し、栗を食べるとますます懐かしく思う。一体どこからやって来たのか、目の前にいて慰めてほしいものだと、子を思う親心を歌っています。
大伴家持の歌は、当時の人々の生活や感情、自然への深い愛情を伝えてくれます。
より詳しく知りたい場合は、以下の情報を参考にしてみてください。
- 万葉集
- 大伴家持に関する書籍や研究論文
- 大伴家持ゆかりの地を訪れる
これらの情報を参考に、大伴家持の和歌の世界を堪能してください。
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