麻雀の「後付けで上がることは不可」というルールは、主に「完全先付け(カンゼンサキヅケ)」と呼ばれるルールを採用している場合に適用されます。これは、麻雀のルールの中でも、特に競技麻雀や昔ながらの雀荘などで採用されることの多い、比較的厳しいルールの一つです。
「後付け(あとづけ)」とは?
まず、「後付け」とは何かを理解する必要があります。
麻雀では、手牌の中に役(アガるための条件)がなければアガることができません。この役が確定していない状態で鳴き(ポン、チー、大明槓)を行い、その後ツモやロンでアガった時に初めて役が成立するような手作りのことを「後付け」と呼びます。
具体例で考えてみましょう。
例1:役牌のポン
あなたの手牌が以下のような状態で、他家が「中」を捨てたとする。
- 萬子:234
- 筒子:567
- 索子:89
- 字牌:白白中中
この時、もしあなたが「中」をポンして、その後「白」をツモ(またはロン)してアガったとします。
ポンをした時点(最初の鳴き)では、手牌に役が確定していません。(「中」のポンは役牌として成立しますが、まだアガれる形ではないため)。その後に「白」をツモって初めて「白、中」という役が成立しました。これが「後付け」の一例です。
「後付け不可」とはどういうことか?
「後付け不可」のルールでは、上記の例のように、最初の鳴きをした時点で、その手牌にアガるための役が確定していなければならない、とされます。
つまり、先の例でいえば、あなたが「中」をポンした時点で、アガれる役が確定している必要があります。しかし、この時点では「中」のポンだけではアガれないため、「後付け不可」のルールではこのポンは許されません。
より厳密にいうと、以下のような状況が「後付け不可」の対象となります。
-
最初の鳴き(ポン・チー・大明槓)の時点で、アガるための役が確定していない場合。
- 例:「中」をポンしたが、他に役がない(または役が確定していない)まま、その後のツモやロンで初めて役がつくようなアガり方。
- 例:タンヤオの手で、まだタンヤオが確定していない(例えば1や9の牌が手牌にある)状態で、2の牌をチーしてしまい、その後ツモやロンでタンヤオが完成する。
- ただし、役牌が暗刻(アンコ)であった場合や、手牌に門前で役が確定している(例:平和、一盃口など)場合は、最初の鳴きが役に関係なくてもアガれることがあります。このあたりの解釈は、細かなルールによって異なります。
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多面待ち(複数のアガり牌がある聴牌)で、片方の待ち牌では役があるが、もう片方の待ち牌では役がない場合。
- 例:待ちは「A」と「B」の2種類。
- 「A」をツモ(またはロン)すると、役がある。
- 「B」をツモ(またはロン)すると、役がない。
- この場合、「後付け不可」では「B」をツモ(またはロン)してもアガることができません。場合によっては、「A」をツモ(またはロン)してもアガれない、という厳しい解釈もあります。これを「片和了り(カタアガリ)禁止」とも呼びます。
- 例:待ちは「A」と「B」の2種類。
なぜ「後付け不可」というルールがあるのか?
- 戦略性の重視: 鳴きを安易に許さず、手牌の中で役をじっくりと作ることを促すことで、より高度な手作りや戦略を要求するため。
- 公平性の確保: 鳴きによって手の価値が急変するのを防ぎ、アガりに対してより明確な根拠を求めるため。
- 歴史的な経緯: 古くからの麻雀のルールに根ざしているため。
「後付けあり」との違い
現在の一般的な麻雀(特にオンライン麻雀や最近の競技麻雀)では「後付けあり(アトヅケアリ)」のルールが主流です。
「後付けあり」のルールでは、上記の「後付け不可」で制限されるようなアガり方も認められます。
例えば、
- 最初の鳴きをした時点では役が確定していなくても、最終的にアガった時に役があれば問題ない。
- 多面待ちで片方に役があれば、役のない待ち牌でもアガれる(ただし、フリテンには注意)。
この「後付けあり」のルールの方が、麻雀のスピード感が上がり、自由な手作りがしやすくなります。
まとめ
「後付けで上がることは不可」というルールは、「完全先付け」というルールを採用している場合に、鳴き手でアガる際に、最初の鳴きの時点で役が確定していることを求めるルールです。これは、麻雀のルールの中でも比較的厳しい部類に入り、ゲームの戦略性に大きな影響を与えます。麻雀をプレイする際は、事前に「後付けあり」か「後付けなし(完全先付け)」かを確認することが重要です。
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