2025年6月16日月曜日

日本で近代以降、一神教を信仰する諸外国のような宗教をめぐる争いが極めて少ないのはどうしてですか

 日本で近代以降、一神教を信仰する諸外国のような宗教をめぐる争いが極めて少ないのは、主に以下の点が挙げられます。


歴史的な多神教・八百万の神の受容

日本は古来より、特定の唯一神を信仰する一神教ではなく、自然のあらゆるものに神が宿ると考える多神教八百万の神の思想が根付いています。神道はその代表であり、特定の教義や戒律が厳格に定められているわけではありません。これにより、異なる信仰や価値観を比較的寛容に受け入れる土壌が形成されてきました。


神道と仏教の融合と共存

仏教が伝来してからも、神道の神々と仏教の仏が同一視される神仏習合の考え方が広まりました。これにより、神道と仏教は対立することなく共存し、時には同じ場所で信仰されることもありました。互いの信仰を排斥するのではなく、融合していく中で、宗教的な多様性を受け入れる文化が育まれたと言えるでしょう。


宗教が生活に溶け込んでいること

日本の宗教は、欧米の一神教のように生活の中心に据えられ、倫理や法律の基盤となるというよりも、季節の行事や冠婚葬祭といった生活習慣の一部として捉えられる側面が強いです。初詣や七五三、お盆など、多くの人が宗教的な行事に参加しますが、それが特定の教義への強いコミットメントを意味するわけではありません。宗教が個人の内面や共同体の習慣に深く根ざしつつも、排他的な側面が少ないため、それが争いの火種になりにくいと考えられます。


近代における国家神道の経験と政教分離

明治維新以降、国家が神道を精神的支柱とする国家神道が推進された時代がありました。これは、ある意味で一神教的な要素を含んでいたとも言えますが、戦後のGHQによる占領政策の中で、政教分離が徹底されました。これにより、特定の宗教が国家と結びついて国民に強制されることがなくなり、宗教の自由が保障されたことで、宗教をめぐる対立が生まれにくい社会が形成されました。


世俗化の進展

現代の日本では、宗教に対する関心が薄れ、特定の信仰を持たない人が増えるという世俗化が非常に進んでいます。もちろん、完全に信仰が失われたわけではありませんが、多くの人々にとって宗教が日常生活の中心的な要素ではなくなったことも、宗教的な対立が起こりにくい要因の一つと言えるでしょう。


これらの要因が複合的に作用し、日本は近代以降、宗教をめぐる大きな争いが少ない社会となっていると考えられます。もちろん、宗教関連の問題が全くないわけではありませんが、諸外国に見られるような、信仰の違いが大規模な社会対立や紛争に発展するケースは極めて稀です。

日本における宗教のあり方について、何か他に気になる点はありますか?

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