2026年2月23日月曜日

中国の「国家情報法(National Intelligence Law)」とは

 中国の「国家情報法(National Intelligence Law)」は、2017年に施行されて以来、西側諸国が中国企業(特にファーウェイなどの通信機器大手やTikTokなどのプラットフォーム)を警戒する最大の法的根拠となっている法律です。

一言で言うと、**「中国の組織や市民に対し、国のスパイ活動への協力を義務付ける法律」**です。

具体的にどのような点が問題視されているのか、主要な条文とあわせて解説します。


1. 最も問題視されている条文(第7条・第14条)

西側諸国の政府や情報機関が特に懸念しているのは、以下の条文です。

  • 第7条:

    「いかなる組織及び公民も、法律に従って国家情報活動を支持し、協力し、及びこれに協力する義務を有し、知り得た国家情報活動の秘密を守らなければならない。」

    • 意味: 中国企業や中国人個人は、政府から「情報を出せ」と言われたら、拒否することは法的に許されず、協力しなければならないということです。

  • 第14条:

    「国家情報工作機関が法に従って情報工作を展開する場合、関係する組織及び公民に対して、必要な支持、援助、協力を提供するよう求める権利を有する。」

    • 意味: 政府側には、企業に対して強制的に協力させる強い権限が与えられています。


2. なぜ「西側諸国にとって問題」なのか?

この法律があることで、西側諸国は以下のようなリスクを想定しています。

  • バックドアのリスク:

    中国製の通信機器(5G基地局など)やアプリを通じて、中国政府が企業の機密情報や個人のプライバシーデータを合法的に吸い上げることができるのではないか、という懸念です。

  • 「民間」と「国家」の境界の消失:

    西側では民間企業は独立したものですが、この法律下では「すべての中国企業は実質的に中国当局の情報網の一部になり得る」とみなされます。

  • 拒否できない強制力:

    企業が「データは渡さない」と約束しても、中国国内法がそれを上書きして強制するため、企業の規約や約束が信用できない状態になっています。


3. 具体的な影響と事例

この法律は、実際の国際政治やビジネスに以下のような具体的な影響を与えています。

  • ファーウェイ(Huawei)の排除:

    アメリカや英国などが「5G通信網にファーウェイ製品を使わない」と決定した最大の理由は、この国家情報法によって、将来的に通信データが中国政府に傍受されるリスクを排除できないと考えたためです。

  • TikTokへの圧力:

    アメリカなどでTikTokの利用禁止や運営会社の売却が議論される際、必ずこの法律が引用されます。「運営会社(ByteDance)が中国政府からユーザーデータの提供を求められたら断れない」という点が争点です。

  • データ保護法の強化(日本・欧米):

    日本でも経済安全保障推進法が制定されるなど、重要なインフラやデータが「信頼できない国」の法律の影響を受けないよう、法的・技術的な防衛策を強化するきっかけとなりました。


4. 2026年現在の状況

2026年現在、中国はさらに「サイバーセキュリティ法」の改正(2026年1月施行)や「反スパイ法」の運用強化を通じて、AIやクラウド分野を含むデータ統制をさらに強めています。

これに対し、西側諸国は「デリスキング(リスク低減)」を掲げ、サプライチェーンから中国の法的影響を受ける製品を外す動きを継続しています。

[!CAUTION]

中国政府は「この法律は他国の安全を脅かすものではない」と主張していますが、条文自体に「協力義務」が明記されている以上、西側諸国の疑念が完全に払拭されるのは難しい状況です。


この法律に関連して、日本企業の中国ビジネスにおけるリスクや、個人の旅行・出張時の注意点など、さらに知りたい部分はありますか?📋

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