「入り鉄砲に出女」の読み方と意味について解説します。
「入り鉄砲に出女」の読み方と意味
この言葉は、江戸時代に幕府が治安維持や支配体制を強化するために、特に**関所(せきしょ)**において厳しく取り締まった対象を指す言葉です。
読み方
「入り鉄砲に出女」は、
「いりでっぽうにでんな」
と読みます。
意味
これは、以下の二つの事柄を指します。
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入り鉄砲(いりでっぽう)
- 意味:江戸(江戸城下)へ鉄砲が持ち込まれること。
- 目的:謀反や内乱を防ぐため、武器である鉄砲が江戸に入ることを厳しく取り締まりました。特に、各地の藩が幕府に対して反抗的な動きを見せることを警戒し、大規模な武装蜂起につながることを阻止しようとしました。
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出女(でんな)
- 意味:江戸から女性が出て行くこと。
- 目的:江戸時代、各大名には**参勤交代(さんきんこうたい)**という制度が課せられていました。これは、大名が定期的に江戸と領地を往復する制度で、その際、大名の妻子は人質として江戸に住まわせることが義務付けられていました。これにより、大名が幕府に反抗することを抑止する狙いがありました。 「出女」とは、この人質である大名の妻や娘などが、無許可で江戸から逃げ出すことを指します。彼女たちが勝手に江戸を出て領地に戻ることは、大名が幕府への忠誠を破る兆候とみなされ、極めて重大な事態と考えられました。そのため、関所では特に女性の通行に対して厳しい取り調べが行われたのです。
なぜこの二つが厳しく取り締まられたのか
「入り鉄砲に出女」は、江戸幕府がその支配体制を盤石にする上で、**軍事的な脅威(鉄砲)と政治的な統制(人質としての女性)**という二つの最も重要な懸念事項を表していました。この二つの要素を徹底的に管理することで、幕府は全国の大名を監視し、平和な世を維持しようと努めたのです。
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