2025年5月30日金曜日

「三重県こども条例」が全部改正され、「ありのままでみえっこプラン」が策定された

 最近、三重県で「三重県こども条例」が全部改正され、それに基づいて新たな「三重県こども計画」として「ありのままでみえっこプラン」が策定された件ですね。これは、子どもの権利をより具体的に保障し、子どもたちの意見を施策に反映させるための重要な取り組みです。

「三重県こども条例」の全部改正と「ありのままでみえっこプラン」の策定について

三重県では、これまでも「三重県こども条例」を制定していましたが、2025年5月28日にその条例を全部改正し、さらにその条例に基づく新たな計画として**「ありのままでみえっこプラン」**を策定しました。これは、2024年4月に施行された国の「こども基本法」と、国際的な子どもの権利保障の潮流を踏まえ、より子どもの視点に立った施策を推進するためのものです。

1. 三重県こども条例の全部改正のポイント

  • 子どもの権利の明確化と保障の強化:
    • 従来の条例が「子どもが健やかに育つことができる環境の整備」を重視していたのに対し、改正条例では、「子どもの権利」をより明確に位置づけ、その保障を強化しています。これは、国連子どもの権利条約の理念を強く反映したものです。
    • 具体的には、子どもの意見表明権、参加権、安全・安心に暮らす権利、差別されない権利などがより強調されています。
  • 「子ども」の定義の明確化:
    • 乳幼児から18歳未満までを「子ども」と定義し、年齢によってニーズや権利の保障の仕方が異なることを意識した内容になっています。
  • 大人(親、地域、事業者、行政)の責務の明確化:
    • 子どもの権利を保障するための大人側の具体的な責務を明確にしています。単に保護するだけでなく、子どもが意見を述べ、社会に参加する機会を提供する責任などが含まれます。
  • 三重県知事の責務:
    • 知事が子どもの権利に関する施策を総合的に推進する責務を負うことが明記されています。

2. 新計画「ありのままでみえっこプラン」について

改正された三重県こども条例に基づき策定されたのが、新たな「三重県こども計画」である**「ありのままでみえっこプラン」**です。このプランは、子どもの意見を尊重し、子ども自身が主体的に未来を築いていける社会を目指すという、非常に先進的なアプローチが特徴です。

  • プラン名の意味:

    • 「ありのままで」:子どもたちが多様な個性や特性、考え方を**「ありのまま」に認められ、安心して生きられる**社会を目指すというメッセージが込められています。
    • 「みえっこ」:三重県の子どもたちを指す愛称です。
  • 基本的な考え方と特徴:

    1. 「子どもの意見表明機会の確保」の重視:
      • このプランの最大の柱の一つです。行政が施策を決定する際に、子どもたちの意見を直接聴き、それを計画や具体的な施策に反映させる仕組みを強化します。例えば、子ども向けのアンケート、ワークショップ、子ども委員会の設置などが想定されます。
      • 子どもたちが「自分の意見が聞いてもらえている」と感じられるような環境づくりを目指します。
    2. 多様な子どもたちの視点:
      • 障がいのある子ども、外国にルーツを持つ子ども、不登校の子どもなど、様々な背景を持つ子どもたちの意見やニーズを丁寧に拾い上げ、施策に反映することを重視しています。
    3. 横断的・包括的な施策の推進:
      • 子育て支援、教育、福祉、虐待防止、居場所づくり、貧困対策など、子どもの育ちに関わるあらゆる分野において、部署横断的に連携し、総合的な支援を目指します。
    4. 地域との連携強化:
      • 地域の子ども食堂、学習支援団体、NPOなど、地域で子どもを支える様々な主体との連携を強化し、地域全体で子どもを育む環境づくりを推進します。
  • 具体的な施策例(想定されるもの):

    • 子どもの参画機会の拡充: こども会議や子どもサミットの開催、県政への意見提出制度の導入、子どもの視点での施策評価への参加など。
    • 子どもの居場所づくり: 子ども食堂、学習支援、遊びの場、相談窓口の充実。
    • 子育て支援の強化: 経済的支援、相談支援、多様な保育・教育サービスの提供。
    • 教育の質の向上: 個別最適化された学びの推進、不登校支援の強化、心のケア。
    • 虐待・いじめの防止と早期発見・対応: 関係機関との連携強化、相談体制の充実。
    • インターネット利用に関する安全教育: 情報リテラシー教育の推進。
    • 災害時における子どもの支援体制整備:

意義と今後の展望

今回の「三重県こども条例」の全部改正と「ありのままでみえっこプラン」の策定は、三重県が**「子どもを権利の主体」として明確に位置づけ、その意見を社会に反映させる**という先進的な姿勢を示したものです。

これは、単に子どもを「保護の対象」と捉えるだけでなく、「社会の担い手」として尊重し、その成長を社会全体で支えていこうという強い意志の表れと言えます。

今後は、このプランが絵に描いた餅で終わることなく、具体的な施策として着実に実行され、本当に子どもたちの声が届き、彼らが「ありのまま」で自分らしく生きられる社会が三重県で実現していくかどうかが注目されます。

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