「渉猟(しょうりょう)」は、普段の会話ではあまり使われない、やや硬く、教養を感じさせる日本語ですね。その意味と使い方を解説します。
「渉猟(しょうりょう)」の意味
「渉猟」の基本的な意味は、以下の通りです。
- 多くの書物や文献を読みあさること。広く調べて知識を深めること。
- あちこちを広く歩き回ること。
しかし、現代において「渉猟」が使われる場合、ほとんどが1番目の「多くの書物や文献を読みあさること」という意味で用いられます。単に読むだけでなく、「ある目的のために、関連する情報を幅広く探し集め、深く学ぶ」というニュアンスが強いのが特徴です。
「渉」は「わたる、あちこち行く」、「猟」は「かり、探し求める」という意味を持ちます。漢字の意味からも、広範囲にわたって探し求める様子が伝わります。
「渉猟」の使用方法
「渉猟」は、主に以下のような文脈で用いられます。
- 学術的・研究的な文脈: あるテーマについて深く研究する際に、関連する文献を幅広く読み込む状況で使われます。
- 専門的な知識の習得: 特定の分野で専門的な知識を得るために、多くの資料に目を通す場合。
- 文章表現として: 口語よりも、論文、専門書、あるいはやや硬めの文章やスピーチで使われることが多いです。
具体的な使い方(例文):
- 「彼は長年にわたり、**古典文献を渉猟(しょうりょう)**し、その成果をまとめた。」
- (多くの古い書物を読み、深く研究したという意味)
- 「最新の研究動向を把握するため、**国内外の論文を渉猟(しょうりょう)**した。」
- (国内外の多くの論文を読み込み、情報を集めたという意味)
- 「その作家は、作品の背景を描くために、**歴史資料を渉猟(しょうりょう)**することに時間を費やした。」
- (その作品の題材や時代考証のために、関連する歴史的資料を幅広く調べたという意味)
- 「彼の知識の広さは、日ごろから**様々な分野の書物を渉猟(しょうりょう)**している賜物(たまもの)だ。」
- (彼は普段から幅広いジャンルの本を読んで知識を深めている、という意味)
類義語とのニュアンスの違い
「渉猟」と似た意味を持つ言葉に「読破(どくは)」「読書(どくしょ)」「調査(ちょうさ)」「探求(たんきゅう)」などがありますが、それぞれニュアンスが異なります。
- 読破(どくは): 特定の書物を「最後まで読み終える」ことに重点が置かれます。読み込む量よりは、読み切ったという達成感を表します。
- 読書(どくしょ): 一般的に本を読む行為全般を指し、目的が必ずしも知識の習得に限られません。
- 調査(ちょうさ): ある目的のために事実や情報を集めることを指しますが、「書物を読む」ことだけでなく、アンケート、聞き取り、実験など、様々な方法を含みます。
- 探求(たんきゅう): 真理や未解明な事柄を深く、どこまでも探し求めることを指し、書物だけでなく、思考や実験なども含まれます。
これに対し、「渉猟」は、**「広範囲にわたる書物や文献を、目的を持って深く読み込み、知識を得る」**という行為に特化した表現です。
まとめ
「渉猟」は、単に読むだけでなく、ある目的のために広範囲の文献を深く読み込み、関連情報を探し集めて知識を深めるという、知的な探求の姿勢を示す言葉です。日常会話で使うと大げさに聞こえることがありますが、学術的・研究的な文脈や、教養を示す文章表現として非常に有効です。
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