「ロストジェネレーション世代」という言葉は、主に日本の特定の世代を指す言葉で、「失われた世代」という意味合いが込められています。略して「ロスジェネ世代」とも呼ばれます。
ロストジェネレーション世代の定義
- 生まれた年代: 1970年頃から1984年頃までに生まれた世代を指すことが多いです。
- 社会に出た時期: 1993年頃から2005年頃までの期間に就職活動を行った世代に該当します。
ロストジェネレーション世代が生まれた背景
この世代が社会に出る時期は、1991年のバブル経済崩壊後に続く「就職氷河期」と完全に重なっていました。
- バブル経済の崩壊: 日本経済は、バブル崩壊によって長期的な不況に突入しました。
- 企業の採用抑制: 多くの企業が業績悪化に苦しみ、人件費削減のために新規採用を大幅に抑制したり、リストラを行ったりしました。
- 有効求人倍率の低下: 新卒の求人が激減し、就職希望者に対して求人の数が圧倒的に少ない「超売り手市場」から「超買い手市場」へと変化しました。1999年には有効求人倍率が0.48倍まで下がるなど、非常に厳しい状況でした。
このような経済状況と労働市場の中で、多くの若者が希望通りの就職が叶わず、不安定な雇用形態(非正規雇用、派遣社員、アルバイトなど)で社会に出ることを余儀なくされました。このことから、「社会に出る機会を失われた」「安定したキャリア形成の機会を失われた」という意味で「ロストジェネレーション(失われた世代)」と呼ばれるようになりました。
ロストジェネレーション世代の主な特徴と課題
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非正規雇用の割合が高い:
- 就職氷河期の時期に正規雇用で就職できなかったため、現在も非正規雇用で働く人が他の世代に比べて多い傾向にあります。
- これにより、収入が不安定で、キャリアアップの機会が少ないという問題を抱える人が少なくありません。
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経済的な不安:
- 不安定な雇用と低賃金のため、将来への経済的な不安を抱える人が多く、貯蓄を好む傾向が見られます。
- 結婚や子育てといったライフイベントを諦めざるを得ないケースも少なくありません。
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仕事への意識:
- 「働きたくても働けない」という厳しい経験をしたため、仕事ができることへの感謝の気持ちや、仕事に対して真面目に、前向きに取り組む姿勢を持つ人が多いとされます。
- 一方で、「指示待ち」と見られたり、失敗を恐れて慎重になりすぎたりする傾向があるとも言われることがあります。
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世代内格差:
- この世代の中でも、正社員として安定した職に就けた人と、そうでない人との間で、経済的・社会的な格差が拡大しているという問題が指摘されています。
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社会への影響:
- 消費意欲が伸び悩み、社会全体の経済活力に影響を与えていると指摘されることもあります。
- 未婚率の上昇や少子化の一因とも考えられています。
- 高齢化が進むことで、社会保障制度への影響も懸念されています。
政府の支援策
日本政府も、この世代が抱える問題の深刻さを認識しており、「就職氷河期世代支援プログラム」などを通じて、正規雇用への移行支援やキャリアアップ支援、リカレント教育(学び直し)の機会提供など、様々な取り組みを進めています。
ロストジェネレーション世代は、日本の経済構造の変化の大きな影響を受けた世代であり、その抱える課題は個人の問題だけでなく、社会全体で取り組むべき重要な問題として認識されています。
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