2026年9月7日月曜日

桑名市は鋳物産業が盛んです。歴史、現状:出荷高・工場数・従事者数、課題など具体的に解説してください 

 東海道の要衝として栄えた三重県桑名市は、国内を代表する「鋳物の街」として知られています。その歴史から現在の状況、そして直面している課題に至るまで、具体的に解説します。


1. 歴史(「東の川口、西の桑名」と呼ばれるまで)

  • はじまり(江戸時代初期):
    慶長6年(1601年)、徳川四天王の一人である本多忠勝が桑名藩の初代藩主として入封し、藩の奨励策として鉄砲の製造を命じたことが「くわな鋳物」の原点とされています。その後、鉄砲にとどまらず、灯ろう、梵鐘、農具、鍋などの生活用具へと裾野が広がりました。

  • 近代の発展と全盛期:
    明治時代に入ると、周辺地域での良質な鋳物砂の発見や、製麺機・水道器具・アイロンなどの機械・日用品の生産が拡大しました。大正から昭和期にかけて、関東の埼玉県川口市と並び、「東の川口、西の桑名」と称される日本屈指の鋳物産地としての地位を確立しました。

  • 戦後から高度経済成長期:
    戦後は一時的な資材不足に直面したものの、復興需要や高度経済成長の波に乗って近代化を果たしました。当時は市内に200を超える工場が乱立していましたが、都市化(市街化)の進展に伴い、多くの工場が郊外や周辺地域へと移転していきました。

2. 現状(出荷高・工場数・従事者数)

かつて市内に多数あった工場は、統廃合や郊外移転を経て集約が進んできました。

  • 工場数と従事者数:
    現在、三重県鋳物工業協同組合等に加盟する企業を中心に、桑名市内および近隣には約30〜34社ほどの鋳物関連企業・工場が稼働しており、1,300人以上の従事者が産業を支えています。

  • 経済規模・出荷額:
    桑名市全体の製造品出荷額等は約3,800億円規模(市全体)に及びますが、その中で鋳物(素形材)産業は、自動車部品、工作機械部品、建設機械部品、マンホール鉄蓋などの土木建築用鋳物といった、日本のモノづくりを根底から支える基幹パーツの供給基地として、年間数百億円規模の出荷額を誇る重要なポジションを占め続けています。

3. 課題

長年培われた高い技術力とノウハウを持つ一方で、現在の桑名鋳物業界は構造的な課題に直面しています。

  • 後継者不足と人手不足:
    熟練の技を必要とする「鋳造」の現場では深刻な高齢化が進んでおり、後継者や新規学卒者の確保が極めて困難になっています。

  • エネルギー・原材料価格の高騰:
    鋳造には大量の電力やコークス(熱源)が必要不可欠です。近年のエネルギー価格や原材料(鉄スクラップ等)の高騰が、中小企業が多い経営基盤を直撃し、コスト転嫁の難しさが収益を圧迫しています。

  • 環境負荷への対応(カーボンニュートラル):
    脱炭素社会の実現に向けた温室効果ガスの削減要求は、融解炉などを使用する鋳造業にとって大きなハードルです。省エネ設備の導入や環境配慮型プロセスへの転換が急務となっていますが、設備投資の負担が重荷となっています。

  • サプライチェーンの変化と自動化の遅れ:
    主要な納入先である自動車産業のEV(電気自動車)シフトや、国内外の需要変動への適応が求められています。また、多品種少量生産の現場が多く、完全な自動化・デジタル化(DX)の推進に遅れが生じている企業も少なくありません。

今後の方向性

伝統的な「職人の勘と経験」に頼る製法から脱却し、3D CAD/CAMやシミュレーション技術の活用、生産工程のロボット化、付加価値の高い高機能鋳物(試作・多品種対応)への特化など、次世代型モノづくりへの転換が進められています。歴史に裏打ちされた技術をどう未来へ継承していくかが、今後の存続の鍵となっています。

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