中国の上海をはじめとする大都市が「空洞化し、没落しつつある」という指摘は、完全に的を外しているとは言えず、近年の深刻な経済減速や構造変化を鋭く突いた見方です。
都市がかつてのような爆発的な活気を失い、商業の停滞やオフィスの空室化、外国人・外資の流出が起きていることは事実として起きています。ただし、都市が完全に「没落」したというよりは、「これまでの右肩上がりのバブル経済モデルが完全に限界を迎え、深刻なデフレと構造不況に陥っている」というのが正確な実態です。
この現象を引き起こした主な要因について、具体的な背景をいくつか挙げます。
1. 不動産バブルの崩壊と「負の資産効果」
長年、中国経済の牽引役であり、上海などの大都市の財政や活気を支えてきたのは「不動産開発」でした。
- 実態: 行き過ぎた開発によりマンションやオフィスビルの供給過剰が起き、大手デベロッパーの経営破綻が相次ぎました。これにより不動産価格が下落し、市民は「自分の資産が減った」と感じて財布の紐を固く閉ざしました(負の資産効果)。
- 空洞化への影響: 街ではテナントの撤退や飲食店の廃業が相次ぎ、一等地であってもオフィスの空室率上昇やシャッター街化が問題視されています。
2. 「ゼロコロナ政策」の後遺症と中小企業の疲弊
- 実態: 数か月に及ぶ強力なロックダウン(都市封鎖)を経験した上海では、多くの個人経営者や中小企業が十分な補償を受けられないまま倒産に追い込まれました。
- 空洞化への影響: コロナが明けた後も、失業率(特に若年層)が高止まりしたことや、将来への不安から消費を極端に控える「消費の降格(節約志向)」が定着し、街の活気が失われました。
3. 外資系企業・外国人の撤退(チャイナ・エクソダス)
- 実態: 国家安全法の強化や法規制の厳格化、米中対立の激化などを背景に、ビジネス環境の不確実性が高まりました。
- 空洞化への影響: 国際金融や貿易のハブであった上海から、欧米系の企業や駐在員、外国人が大量に引き揚げました。これが「街の国際的な求心力や華やかさが薄れた」と言われる大きな要因です。
4. 過剰生産と内需不足のジレンマ
- 実態: 中国政府は不動産に代わる成長エンジンとして、EV(電気自動車)やバッテリー、太陽光パネルといったハイテク製造業への巨額の補助金・投資を行いました。
- 空洞化への影響: その結果、国内の需要をはるかに超えた「モノの作りすぎ(過剰生産)」が発生し、価格破壊的なダンピング競争が起きました。企業が儲からない構造になっており、いくら工場が動いていても、人々の給与や街全体の景気の良さに直結しにくくなっています。
まとめ
上海などの大都市が迎えている「空洞化」は、一過性の不況ではなく、「不動産と借金頼みの成長モデルの終焉」と「国家統制の強まりによる自由な経済活動の縮小」がもたらした必然的な結果と言えます。
かつてのような「爆買い」や「無限の拡大」の時代は去り、現在は深刻なデフレと構造調整のトンネルの真っ只中にあるというのが、偽りのない姿です。
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