健常者の脈拍数の基準から、ペースメーカーが必要になる基準、そしてなぜ脈拍数が減少してしまうのかそのメカニズムについて、具体的に解説します。
1. 健常者の脈拍数(基準値)
成人の健常者における安静時の脈拍数(心拍数)は、一般的に「1分間に60〜100回」とされています。
- 睡眠中やリラックス時: 副交感神経が優位になるため、1分間に50回台や、アスリートなどの心肺機能が非常に高い方では40回台まで下がることもあります(これ自体は異常ではありません)。
- 運動時や緊張時: 交感神経が優位になり、全身に多くの酸素を届けるために脈拍数は自然と増加します。
2. ペースメーカーが必要となる脈拍数
医学的にペースメーカーの適応(必要性)が検討されるのは、主に「徐脈(脈が遅すぎる状態)」によって日常生活に支障が出たり、命に危険が及んだりする場合です。
- 具体的な数値の目安:
- 明確に「何回以下なら絶対」という一律の基準はありませんが、安静時や日中の活動時にもかかわらず、脈拍が持続的あるいは断続的に「40〜50回未満」に低下する場合、特に注意が必要です。
- 一時的に心臓が数秒間(おおむね3秒以上)完全に止まるような状態や、脈が極端に落ちて脳に血流がいかなくなるケースでは、強くペースメーカーが推奨されます。
- 症状を伴うかどうかが重要:
- 数値が低くても全く症状がない場合もありますが、「めまい」「ふらつき」「失神(気が遠くなる)」「強い息切れ・倦怠感」「動けなくなる」といった脳や全身の血流不足による症状(脳虚血症状)が伴う場合は、ペースメーカーによる治療の強い適応となります。
3. なぜ脈拍数が減少するのか(主な原因)
心臓は、自ら電気信号を生み出して規則正しく拍動しています。この「電気の発生」や「電気の通り道」にトラブルが起きると、脈が減少(徐脈)します。代表的な原因は以下の2つです。
① 洞不全症候群(SSS:Sinus Node Dysfunction)
心臓の「司令塔」である洞結節(どうけっせつ)という場所で、電気信号がうまく作られなくなったり、発生が遅れたりする病気です。
- メカニズム: 加齢に伴う線維化(老化現象)や、心筋への血流低下、薬の影響などが原因で司令塔の機能が衰え、心臓全体に「動け」という指令が届かなくなります。その結果、脈が全般的に遅くなったり、突然心臓の拍動が数秒間止まったりします。
② 房室ブロック(Atrioventricular Block)
司令塔で作られた電気信号が、上の部屋(心房)から下の部屋(心室)へ伝わる途中で、途絶えてしまったり遅れたりする病気です。
- メカニズム: 電気の通り道(房室結節など)が傷ついたり、老化や心筋梗塞などのダメージを受けたりすることで、信号がうまく通過できなくなります。重症度(高度房室ブロックや完全房室ブロック)になると、心房が動いていても心室へ電気が伝わらず、心室が独自の遅いリズム(分度30〜40回程度など)でしか動けなくなり、全身に十分な血液を送れなくなります。
💡 まとめ健康なときは60〜100回あった脈が、加齢や病気によって心臓の電気系が衰える(洞不全症候群や房室ブロック)と極端に減少(40回未満など)します。これにより脳貧血や心不全の症状が起きるため、人工的に電気信号を送ってリズムを立て直すペースメーカーが必要となります。
さらに詳しく知りたい疾患のタイプや、気になる症状などはございますか?
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