日本の女性評論家のパイオニアの一人であり、高齢化社会や女性問題、福祉の分野で長年日本のオピニオンリーダーとして牽引し続けている樋口恵子(ひぐち けいこ)氏について、履歴、主な活躍実績、現在の活動内容を具体的に解説します。
1. 履歴(プロフィール・経歴)
- 生年月日: 1932年(昭和7年)生まれ(東京都出身)
- 学歴:
東京大学文学部(美学美術史学科)卒業、同・新聞研究所(現・大学院情報学環・学際情報府)本科修了。 - 職歴の変遷:大学卒業後、時事通信社、学習研究社(学研)、キヤノンでの勤務を経て、フリーの評論家に転身。メディアや企業での実務経験を背景に、女性問題や子育て、労働、高齢化問題などに関する鋭い論考や発言で注目を集める。
- 教育・公職:
- 1986年から2003年3月まで東京家政大学教授を務める。その後、同大学名誉教授、女性未来研究所長に就任。
- 政府の各種審議会委員を歴任(内閣府男女共同参画会議「仕事と子育ての両立支援策に関する専門調査会」会長、厚生労働省社会保障審議会委員、社会保障国民会議メンバーなど)。
2. 主な活躍実績
① 「介護保険の母」としての功績
樋口氏の最も特筆すべき実績は、高齢化が進む日本において「介護保険制度」の創設と普及に決定的な役割を果たしたことです。
それまで「嫁や家族の自己責任・身内による犠牲」とされがちだった高齢者の介護を、社会全体で支え合う仕組みに変えるべきだと一貫して主張。女性たちのリアルな声をすくい上げ、制度化へ向けて世論を動かしたことから、「介護保険の母」とも称されています。
② 女性の社会進出と地位向上への提言
戦後の日本において、専業主婦層の意識改革や、女性の労働環境の改善、育児と仕事の両立支援を長く訴えてきました。メディアや講演などを通じて、家庭内でのジェンダー不平等や社会構造の課題をユーモアと論理性を兼ね備えた語り口で指摘し続け、多くの女性たちに影響を与えてきました。
③ 高齢社会をよくする活動(NPOの設立)
1996年にNPO法人「高齢社会をよくする女性の会」を設立し、理事長に就任。単に「高齢者をいたわる」という視点ではなく、高齢者が主体的に生き、自分らしい老後をデザインするための提言や実践活動を全国で展開しています。
3. 現在の活動(高齢期のリアルな発信)
現在も精力的に執筆活動や講演会を行っています。高齢期を自らの一番身近なテーマとして捉え、ユーモアを交えながら「老い」に向き合う姿勢が多くの共感を呼んでいます。
- 新語・概念の提唱:自らの高齢期を体験する中で、要介護状態の手前にある、ヨタヨタ・ヘロヘロした心身の状態を「ヨタヘロ期」と名付け、高齢者がその時期をどう尊厳を持って生きるか、また人生のエンディングをどう迎えるか(終活)について積極的に発信しています。
- 近年の主な著書:『老いの福袋』、『大介護時代を生きる』、『どっこい生きてる90歳』など、年齢を重ねるごとの現実と面白さを伝える著作を多数発表しています。
人生100年時代といわれる現代において、自ら「老いること」の当事者として最前線に立ち続け、社会へメッセージを送り続けている、まさに時代を象徴する論客の一人です。
0 件のコメント:
コメントを投稿